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査定額=売れる金額ではありません!不動産業者がひた隠す『高額提示』『囲い込み』の手口と、家を本当に高く売却するための完全防衛策

  • 2月16日
  • 読了時間: 11分

不動産 売却 査定

「家を売るなら、少しでも高く査定してもらい売却したい」


そう思うのは当然のことです。

しかし、私が長年、住宅営業の現場に立っていた頃、その「高く売りたい」という気持ちに付け込まれ、結果的に損をしてしまう売主様を数多く見てきました。


特に多かったのが、「一番高い査定額を出した会社に頼んだけど、全く売れずに結局値下げした」というケースや、「大手なら安心だと思って頼んだのに、放置された」というケースです。


今回は、元業界人の視点から、不動産会社が仕掛ける「高額査定」のからくりや「囲い込み」の手口、そして「数字や看板に騙されず、確実に家を売るための自衛策」について、包み隠さずお話しします。

お家売却時に一番高い査定額を選んで失敗する典型的パターン

私が現場にいた頃、他社と競合した際によく耳にしたのが、「まずは強気な価格で市場に出してみて、反応を見ながら調整しましょう」という提案です。


売主様からすれば、「高く売れるチャンスがあるなら試したい」「ダメなら下げればいいだけ」と思える、非常に魅力的な提案に見えます。


しかし、ここには不動産業界の悪しき商慣習である「高預かり(たかあずかり)」という罠が仕掛けられています。


実録:「まずは強気で」の裏にある本当のシナリオ

多くの売主様が勘違いされているのが、「査定額=売れる金額」ではなく、「査定額=契約を取るためのプレゼン数字」であるという点です。


例えば、プロの目から見て「実際の相場(成約する価格)」が3,000万円の物件があったとします。 しかし、どうしても契約を取りたい営業マンは、あえて実勢相場を隠し、次のような「二段階の嘘」をつきます。


【嘘①】相場の偽装

「このエリアなら、3,200万円くらいが相場ですね(※本当は3,000万)」

→まずここで、売主様の期待値を実勢より高く設定させます。


【嘘②】高値での売り出し提案

「なので、まずは3,500万円で強気に出してみましょう!値下げ交渉が入っても、3,200万円(偽の相場)で着地できれば御の字ですから」

→売主様は「最悪でも3,200万で売れるなら安心だ」と錯覚して契約してしまいます。


なぜ「値下げしても売れない」のか?

当然、相場より500万も高い3,500万円では問い合わせすら来ません。

数ヶ月後、営業マンはこう言います。「反響がないので、予定通り3,200万円まで下げましょう」

ここが最大の落とし穴です。

売主様は「300万も下げたんだから売れるだろう」と思います。

しかし、3,200万円に下げても、実はまだ本当の相場(3,000万円)より高いのです。


結果、3,200万円に下げても一向に売れず、長期間ネットに掲載され続けることになります。すると、購入検討者からは「ずっと売れ残っている物件だ。何か問題があるに違いない」と敬遠され、足元を見られるようになります。


最終的には、本当の相場である3,000万円、あるいはそれ以下まで価格を叩かれて成約する……これが、「一番高い査定額」を選んだ売主様が辿る、悲しいけれど典型的な末路なのです。


なぜ業者は「売れない高値」を出すのか?

理由は単純です。「あなたと契約(媒介契約)を結びたいから」です。

とにかく他社より高い金額を見せて契約を取り、あとから「売れないから下げましょう」と提案すればいい。

そう考えている営業マンは残念ながら多く存在します。

査定額は「その価格で売れる保証」ではなく、「契約を取るためのプレゼン数字」である可能性を疑ってください。


【例外】高くても売れるケースはあるのか?

もちろん、元住宅営業マンとして「相場より高い=絶対に売れない」と断定はしません。

例外的に、相場を超えた高値で成約するケースも確かに存在します。

しかし、これには「物件種別」と「タイミング」という明確な条件があります。


「駅近マンション」は高値チャレンジが成功しやすい

特に「駅近の人気マンション」や「滅多に売りに出ないエリアの希少物件」は、相場より高くても売れる可能性があります。

マンションは「○○マンションのこの方角の部屋が出たら連絡してほしい」という指名買いの待機客がいることが多く、そのタイミングと合致すれば、「多少高くても、今買わないと二度と手に入らない」という心理が働き、即決まることがあります。


「中古戸建」はシビアな現実

一方で、「一般的な中古戸建」の場合、この奇跡は起きにくいのが現実です。 戸建てはマンションに比べて「立地+建物」の個別性が強く、買い手の好み(間取り、デザイン、築年数)が分かれやすいため、「どうしてもこの家じゃなきゃダメだ!」という熱烈な指名買いが起きにくい傾向にあります。

また、近隣に似たような新築建売が出ていると、価格競争で負けてしまうことも多々あります。

ご自身の物件が「希少なマンション」なのか、「一般的な戸建て」なのかによって、とれる戦略(強気でいけるか、手堅くいくべきか)は全く異なるということを、どうか知っておいてください。

「大手だから安心」という思考停止の罠と囲い込みの実態

「テレビCMでよく見るあの会社なら、きっと高く売ってくれるだろう」

「あの大手なら、全国に支店があるからネットワークも広いはず」


売却の相談を受けた際、お客様の口から必ずと言っていいほど出てくるのがこの言葉です。 確かに、大手不動産会社のブランド力や資金力は魅力的です。

しかし、元営業マンの立場から断言させてください。


「会社の規模」と「あなたの家が高く売れるか」は、全く別の話です。


むしろ、「大手だからこその構造的なリスク」が、あなたの売却活動の足を引っ張る可能性があることを知っておく必要があります。


「豊富な顧客リスト」という幻想と、電話一本でバレる「囲い込み」の嘘

「うちはネットワークが広いです!すぐに買い手が見つかります!」

大手はよくこのセリフを言います。しかし、その「顧客」にあなたの物件が紹介されるとは限りません。


むしろ大手ほど、「両手取引(売主と買主の両方から手数料をもらうこと)」へのノルマが強烈に厳しいという事実を知ってください。


本来なら、レインズ(不動産流通機構)を使って全国の不動産会社に情報を公開し、広く買主を探すべきです。

しかし、現場では信じられないような「情報の遮断」が行われています。


【実録】電話一本で分かる「嘘の商談中」

私が客付け業者(買主様側の担当)として、ある大手業者が預かっている物件に「お客様が興味を持っているので内覧させてほしい」と電話(物件確認)をした時の話です。


電話口に出た担当者は、こう答えました。

「あいにく、今ちょうど商談が入っておりましてご紹介できません」


不動産の世界では「商談中」と言われたら、他社は大体は引くしかありません。

私はお客様に「残念ですが、他の方で話が進んでいるようです」とお断りを入れました。


しかし、ここからがおかしな話です。

本当に商談中であれば、通常1週間〜2週間もあれば契約に至るか、キャンセルになって再度募集がかかるはずです。

ところが、その物件は「商談中」と言われてから1ヶ月以上経っても、ポータルサイトやレインズに「募集中」として掲載され続けていたのです。


売主様だけが知らない「機会損失」

これは何を意味するかわかりますか? 「商談中」というのは真っ赤な嘘で、実際には自社で直接の買主を見つけるまで、他社の客はブロックし続ける(囲い込み)という操作が行われていたのです。


この間、売主様には何と報告されているでしょうか?

おそらく、「今月は他社からの問い合わせも全くありませんでした。相場より高いのかもしれませんね」「問い合わせは来ているのですが、別の物件でご成約となりました」などと嘘の報告がなされ、値下げを提案されている可能性すらあります。


本当は「買いたい」という人がいたのに、業者の身勝手な都合で門前払いされていた。

大手だから安心どころか、「大手だからこそ、組織ぐるみであなたのチャンスを潰している」というケースが、現場では日常茶飯事なのです。


実際に「大手に頼んでいるけど半年も売れない」と相談に来られたお客様の物件を見ると、単に図面をネットに載せているだけで、魅力的な紹介が全くされていないこともありました。

重要なのは「会社の看板」ではなく、「担当者がどれだけ本気で動いてくれるか」です。

元営業マンが教える「3つの防御策」

悪質な「高額査定」や「囲い込み」から身を守るには、受け身でいてはいけません。

営業マンに「この売主は知識がある。適当なことは言えないぞ」と思わせることが、最大の防御になります。


「売り出し価格」ではなく「成約価格」の根拠を詰めろ

高い査定額が出た時、多くの売主様は「近所でいくらで売りに出ているか」を参考にしがちです。

しかし、これは間違いです。

「売りに出ている価格」は単なる売主の「希望価格」であって、実際に「売れた価格」ではないからです。

営業マンが高い査定額を持ってきたら、必ずこう切り返してください。


「この査定額の根拠となった、直近3ヶ月以内の『成約事例(実際に売れた金額)』を見せてください」


もし、そのエリアの成約相場が3,000万円なのに、3,500万円の査定を出してきているなら、営業マンは成約事例を出せません。 「今は相場が上がっているから」という抽象的な説明ではなく、「データ(事実)」を出させること。 

これだけで、高額査定の嘘は9割見抜けます。


「一般媒介」は諸刃の剣!正直おすすめしない理由

よく囲い込みを防ぐために、複数社に依頼できる『一般媒介』にしましょう、というアドバイスを見かけますが、元営業マンとしては正直おすすめしません。


なぜなら、「みんなが扱える物件」=「誰も責任を持たない物件」になりがちだからです。

営業マンの心理を暴露するとこうです。


一般媒介の物件は、一生懸命チラシを撒いたりネット広告費をかけたりしても、もし他社のお客さんで決まってしまったら、うちの会社の利益はゼロになる。 

だったら、確実に手数料が入る『専任物件』の販売活動を優先しよう。


結果、一般媒介にした途端、各社とも「とりあえずネットに載せるだけ」の放置プレイになり、本気で汗をかいてくれる営業マンがいなくなるリスクが高いのです。 (※都心の一等地など、黙っていても売れる人気物件なら一般媒介でも競争が起きますが、普通の物件では逆効果になることが多いです)


【正解の動き方】

信頼できそうな1社に絞って**「専任媒介」で依頼し、その代わり「業務報告書(どんな活動をして、どんな反響があったか)」を厳しくチェックするのが、最もバランスの良い戦略です。


究極の裏技「身内による『他社経由』の抜き打ちチェック」

専任で任せたものの、「本当に囲い込みされていないか?」と不安な場合、これが最も確実な確認方法です。

ただし、やり方を間違えないでください。

友人に直接、あなたの依頼している不動産会社に電話させてはいけません。

それでは業者が喜ぶ「両手取引」の客になるだけです。

そうではなく、友人に頼んで「全く別の不動産会社(近所のライバル店など)」に行ってもらい、そこで客のフリをしてこう言ってもらうのです。


ネットで見た〇〇町のこの物件(あなたの家)が気になっているんですが、御社で案内してもらえませんか?


この時、そのライバル店の営業マンは、あなたの依頼している業者に「物件確認(内覧できるか)」の電話をかけます。ここで勝負が決まります。


  • ライバル店の営業マンが戻ってきて… 「あ、確認取れました!ご案内できますよ」 → 正常です。 あなたの担当者はちゃんと他社にも窓口を開いています。


  • ライバル店の営業マンが戻ってきて… 「すいません、今電話したら『商談中』らしくて紹介できないと言われました…」 → アウトです。


もし、このタイミングであなたへの報告に「申し込みが入った」という話が来ていなければ、それは100%囲い込みをされています。

「他社の客には売らせない」という、業者の都合による悪質な背信行為です。

この証拠を掴んだら、即座にその会社との契約を解除し、然るべき処置を取りましょう。


まとめ:「良い人そう」「看板だけ」で選ぶと痛い目をみる

不動産売却は、数千万円という大金が動く、人生でも数少ないビッグイベントです。

だからこそ、営業マンの「笑顔」や「熱意」、会社の「知名度」といった表面的な要素だけで判断するのは、あまりにリスクが高すぎます。

厳しいことを言いますが、「とても感じが良くて、熱心な営業マン」が、裏では平気で囲い込みをして売却のチャンスを潰している――そんな残酷な現実が、この業界には確かに存在します。


彼らにとっての「良い仕事」とは、必ずしも「あなたを儲けさせること」ではなく、「会社に最大の利益(両手取引)をもたらすこと」である場合が多いからです。

どうか、以下の3つの教訓を忘れないでください。


  1. 「甘い高値査定」は、契約を取るための毒饅頭である (根拠のない数字に踊らされないでください)

  2. 「大手の看板」は、安心の保証書ではない (むしろ、ノルマによる囲い込みのリスクを警戒してください)

  3. 「人当たりの良さ」は、ただの営業スキルである (笑顔の裏にある「戦略」を見てください)


本当に信頼できるパートナーとは、耳障りの良いことばかり言うイエスマンではありません。

「相場の現実(厳しいデータ)」を隠さず見せてくれるか、「囲い込み」をしないと断言できるか。


その「誠実さ」と「戦略」を見極めるために、ぜひ今回お伝えした防御策を実践してください。

あなたの大切な資産を守れるのは、最終的には「あなた自身の厳しい目」だけなのです。


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